Snow Soul Records

最近Youtubeネタのサルベージばかり。

高野文子

2007.08.30

category : design








るきさん るきさん
高野 文子 (1996/12)
筑摩書房

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棒がいっぽん 棒がいっぽん
高野 文子 (1995/07)
マガジンハウス

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ひとつ前のエントリーで、北村薫の『夜の蝉』を紹介したんだけど、この本を見つけたのは10年前、神田の書店街でした。元々、創元社の推理文庫シリーズやSFシリーズは面白いものが多くて好きだったんだけど、『夜の蝉』については何の知識もなく、表紙絵で購入。高野文子のイラストだったからです。内容も、高野文子の表紙絵が本当にぴったりでした。古本屋を巡るのが趣味の地味な女子大生が主人公で、日常のちょっとした謎(例えば本屋で、いつも目にする度に、ある本だけが逆様になっている)を、探偵役である知り合いの落語家に話すと、その裏に思わぬ深い人間模様が広がっていることがわかる・・・という体裁の連作です。特に殺人や大きな事件は起きるわけではなく(4作目でやっと事件らしい事件が起きるが、これも傑作)すべて身近な日常が舞台でありながら、少し視点を変えるだけで、こんなに深く味わいのある物語が構築できるのかと、驚くばかりです。突拍子もない設定や、キツいキャラ立ち勝負な作品が流行る日本のミステリ界隈にあって、こういう骨太で静謐な作風は貴重だと思います。因みに、北村薫は男性で、元埼玉県春日部市の高校教師だったそうです。よってこの作品の舞台も神田神保町と春日部がメインです。春日部といえばクレヨンしんちゃんの舞台ですね。まったく関係ないけど。


で、創元社から発売されている北村薫の作品すべての表紙絵を手がけている高野文子ですが、非常に寡作でデビューしてから25年経つのに作品が6作品しかありません。しかし天才との呼び声が高く、特に同業者から絶大な評価をされているようです。僕も10年ほど前に『棒がいっぽん』という短編集を何気なく買って依頼衝撃を受け、過去の作品をかき集めました。なかなか言葉では良さを説明しづらいのですが、一言でいえば、シンプルな線で描かれた描写の細部に神が宿っているという感じです。北村薫と同様に、特に事件が起きるわけでもない日常を描いた作品が多く、描かれる世界は静かです。作品ごとに作風を変える器用な人で、ポップな作品もあるのですが、やはりどこかおだやかで、寝る前に読むには最適な本です。特に『棒がいっぽん』の中に収められている『うつくしき町』という昭和40年代を舞台にした、若夫婦の物語は必読です。

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